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障害年金を受給するためには、いくつかの要件を満たす必要があります。
(1)初診日要件
初診日要件とは
国民年金、厚生年金、共済年金の被保険者期間中に、障害の原因となった病気やケガに対して医師または歯科医師の診察を受けることが必要です。
この診察を初めて受けた日のことを「初診日」といいます。
なお、年金制度に未加入であった20歳前の傷病により障害の状態になった場合や、国民年金に加入したことのある人で、60歳~65歳未満の間に初診日のある傷病により障害の状態になった場合は、障害基礎年金の対象となります。
65歳以後に初診日がある場合、障害年金の対象とはなりません。
『初診日』は客観的に証明する必要があります
『初診日』は、基本的に受診状況等証明書という書類によって証明する必要があります。
しかし、カルテ廃棄や廃院によって、初診の医療機関のカルテに基づく証明書類が取得できないことがあります。
この場合でも、最初に受診した医療機関以外の「受診状況等証明書」や『初診日』を推定できる具体的な参考資料(障害者手帳、交通事故証明書、診察券など)によって、本人が申し立てた日が『初診日』として認められることもあります。
被保険者期間とは、年金制度に加入している期間のことです。
20歳から64歳までは、年金制度に強制加入となっていますので、その間に『初診日』があると証明できる人はこの条件を満たしています。
また、『初診日』が20歳前の人、60~65歳に『初診日』があり日本国内に住んでいる人も、国民年金に加入していた人と同じ扱いになります。
『初診日』が65歳以上の人は、原則、障害年金の対象になりません。
年金 |
対象となる人 |
---|---|
障害基礎年金 |
① 『初診日』に国民年金に加入していた方 例:自営業者、働いていない人、20歳以上の学生、会社員の配偶者に扶養されている人など |
② 20歳前に『初診日』がある方 例:先天性の障害がある人、子どもの頃に障害をおった人など |
|
③ 60歳以上65歳未満の人で、年金制度に加入していない期間に『初診日』がある方 例:60歳以上65歳未満で、老齢年金を受給するまでの人 |
|
障害厚生年金 |
厚生年金保険加入中に『初診日』がある方 例:会社員など |
(2)保険料納付要件
保険料納付要件とは
初診日の前日において、初診日の属する月の前々月までの被保険者期間のうち3分の2以上の期間が以下のいずれかを満たしていることが必要です。
- 保険料を納めた期間(第3号被保険者期間も含む)
- 保険料を免除された期間
- 学生納付特例又は若年者納付猶予の対象期間
要するに、これまでの被保険者期間のうち3分の1を超える期間で保険料の未納がないことが問われているということです。
ただし、上記の要件を満たせなくとも、平成38年4月1日前に初診日のある障害(初診日において65歳末満の人に限ります)については、初診日の前日において初診日の属する月の前々月までの1年間のうちに保険料の未納期間がない場合には、保険料納付要件を満たしたものとされます。
なお、被保険者でない20歳前の傷病により障害の状態になった方については、保険料納付要件は問われません。
保険料の納付が困難なときは「免除」や「猶予」の手続きをお勧めします
「未納」は、手続きをすることなく保険料を納めていない状態で、年金の受給資格期間に含まれません。
そのため、障害年金だけでなく老齢年金や遺族年金を受給できなくなることがあります。
「免除」や「猶予」は、経済的に納付が困難である場合など、一定条件を満たす人への救済措置です。手続きをして承認されると、保険料を納めていた期間とみなされます。
保険料を納めるのが難しいときは、そのままにせず、年金事務所や市町村役場で「免除」や「猶予」の手続きをすることをお勧めします。
(3)障害認定日要件
障害認定日要件とは
障害認定日において、一定の障害があることが必要です。
障害認定日とは、本来の障害の認定を行うべき日のことをいい、初診日から起算して1年6ヶ月を経過した日、又は、1年6ヶ月以内に傷病が治った場合はその治った日(症状が固定し、治療の効果が期待できない状態に至った日を含む)をいいます。
ただし初診日から起算して1年6ヶ月を経過する前に以下の状態になった場合は、特例として、上記の内容に関わりなく請求手続きができます。
- 人工透析をしている場合・・・人工透析開始から3ヶ月を経過した日を障害認定日とします。
- 心臓ペースメーカーや人工弁を装着した場合・・・装着した日を障害認定日とします。
- 人工膀胱、人工関節を造設した場合・・・造設した日を障害認定日とします。
- 手足の切断の場合・・・切断された日を障害認定日とします。
- 脳梗塞、脳出血などによる肢体の障害の場合・・・初診日から6ヶ月以上経過し、医師が症状固定と判断した日を障害認定日とします。
また、障害認定日において一定の障害の状態に該当しなかった場合であっても、65歳に達する日の前日までの間に該当するに至った場合は、事後重症による請求が可能となります。
障害状態の基準
障害状態の基準は法令で定められており、具体的には「障害認定基準」で審査しています。
「国民年金・厚生年金保険 障害認定基準」(「障害認定基準」)では、体の部位や病気ごとに具体的な基準が掲載されています。
各傷病の詳しい基準はこちらをご覧ください。
障害状態が基準に該当しているかどうかは、請求時に提出した書類によって判断されます。
最も重要視されるのは、医師が作成する診断書で、次に本人や家族など請求する側が作成する「病歴・就労状況等申立書」も審査に影響を与えます。
『初診日』が国民年金加入中にある自営業の人や、生まれつきの障害がある人、20歳前に『初診日』がある人などが対象の「障害基礎年金」は、1級か2級に該当しないと受給できません。
一方、『初診日』に会社員であった人などが対象の「障害厚生年金」は、1級から3級のいずれかに該当すると受給できます。
また、3級に該当しないときでも条件を満たせば「障害手当手金」という一時金が支給されます。
障害年金でよくある質問
「働いていると障害年金は受給できませんか?」
「働き始めたら障害年金が停止されますか?」
という質問は当事務所でもよく伺います。
基本的に、障害年金は働いていても受給することができます。
また、すでに障害年金を受給している人が、働き始めたことで、すぐに障害年金が停止になることはありません。次回更新時までは、そのまま支給が継続されます。
働いていることの受給への影響が小さい傷病
眼や耳の障害、肢体障害などの外部障害は、働いていることが障害年金の受給に影響することは少ないと考えられています。
他の傷病よりも数値で障害の状態を明確に表すことができるからです。
働いていることの受給への影響が大きい傷病
精神障害や発達障害、がんや内科系疾患などの内部障害は、認定審査の際に「働けている=障害の程度が軽度なのではないか」と判断されることが少なくありません。
障害の程度を客観的に表しにくい、(数値で判定しにくい)ことが理由です。
ですが、就労に制限があったり、軽い仕事のみを任せてもらっていたり、サポートを受けて、やっと働いている状態であれば受給できる可能性が高いです。
「就労継続支援事業所で働いている」「障害者雇用である」「短時間勤務である」「軽作業のみを担当している」「休憩時間を多く取れるように配慮してもらっている」などの事情がある場合には提出する書類を反映させることが重要です。
⚠お問い合わせの前にご確認ください!⚠
生活保護を受給されている方はこちら 現在のご年齢が 65 歳以上の方はこちら 保険料未納の可能性がある方はこちら |
投稿者プロフィール
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当事務所では横浜市を中心に神奈川県全域で障害年金に関する幅広いサポート依頼に対応しております。
当事務所は1990年に横浜で事業を開始し、相談件数は6000件を超える、相談者からの信頼の厚い事務所です。
相談者にとって最大限のお手伝いができるよう、精一杯取り組みますので、具体的な障害年金に関するご相談等ございましたら、お気軽にお問い合わせください。
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